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|コラム|褥瘡回診における管理栄養士の役割~その一口を褥瘡治癒に繋げるために~

『褥瘡回診における管理栄養士の役割~その一口を褥瘡治癒に繋げるために~』と題して、

褥瘡回診対象者の食事を調査し、嚥下調整食の改善を図ったお話を、茨城県厚生連 総合病院 土浦協同病院 栄養部 榊美穂先生に伺いました。

 


回診

当院では、2002年4月より皮膚科医師、皮膚・排泄ケア認定看護師を中心に、薬剤師、理学療法士、作業療法士、管理栄養士が連携し、毎週火曜日に褥瘡回診を行っています。

 

管理栄養士の回診への参加目的は、栄養管理計画の立案や、適切な栄養・食事の提供を継続的に行うことです。

今回、褥瘡回診に参加し、患者様の状態や食事状況を調査し、嚥下調整食の検討を行った事例をお話します。

 

【調査方法】

今回の調査は、下記の条件で実施しました。

  • 調査期間:2021年6月~2022年5月
  • 調査対象:期間中に入院された褥瘡回診対象31名
  • 調査方法:褥瘡の年齢層や提供された食種を調査。問題点を抽出し、食事内容を検討。

 

【調査結果】

約1年の調査の結果、当院の褥瘡患者様は70~90代が約8割を占めており、その9割以上に嚥下調整食3・嚥下調整食3・4中間食・嚥下調整食4といった嚥下調整食が提供されていることが分かりました。

 

 

〈参考〉土浦協同病院様の嚥下調整食の種類

 

 *『日摂食嚥下リハ会誌25(2):135–149, 2021』 または 日本摂食嚥下リハ学会HPホームページ:
 https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2021-manual.pdf
『嚥下調整食学会分類2021』 を必ずご参照ください。
 *表の理解にあたっては『嚥下調整食学会分類2021』の本文をお読みください。
 *日本摂食嚥下リハビリテーション学会 嚥下調整食分類2021
 編)Umios㈱

 

 

【問題点】

また、この調査により、摂取量の安定している患者さんが少ない、摂取量にムラが多いという問題点があることも判明しました。この原因は下記の理由が考えられます。

・患者様の体調

・食事介助の有無

・加齢に伴う食欲不振

・消化機能に見合わない食事量の多さ

 

 

 

そこで、私たち栄養部は上記2点(赤字)を考慮し、食事の見直しを行うことで患者さんの摂取量・栄養状態の改善が見込めると考え、嚥下調整食の改善を図ることにしました

 

 


少量・高栄養を目指して改善

今回の調査より、上記の問題点が明らかになりました。

栄養改善するには“食べてもらわないことには意味がない”という思いもあり、「少量で栄養をとってもらえる食事」を心掛けました。

 

 

【改善策】

実施した栄養改善の具体策を挙げます。

(1)栄養価の見直し

①1品1品を栄養強化する

栄養強化については、「たんぱく21シリーズ」を導入したことが大きな改善点となりました。たんぱく21シリーズは、利用のしやすさやおいしさだけでなく、エネルギー・たんぱく質量にも配慮されているため食事の栄養強化に役立っております。

以前は、やさしい素材チキンを1人前2/3量(65g)で提供していましたが、たんぱく21シリーズでは1/2個(50g)で提供しています。使用前より提供量が減少しても、肝心なたんぱく質量については維持どころか強化に繋げることができました。

 

②栄養補助食品を利用した料理を考案

栄養強化補助食品を調味料の一部に加えるなどの工夫を取り入れ、エネルギー・たんぱく質をはじめ様々な栄養を強化するように努めました。

 

③栄養価の低いメニューの廃止

 

(2)提供量の見直し

①おかずを1品減らす

おかず4品(主菜1品+副菜3品)→おかず3品(主菜1品+副菜2品)に変更

 

②患者様に負担をかけない量で提供する

〈実例〉嚥下調整食3

改善前                                                                  改善後

 

【改善の効果】

このように嚥下調整食を改善したことで、下記の効果が得られました。

 

●嚥下調整食3の献立内容を以前の提供品数から1品減らし、1品1品のメニュー栄養強化を図ることで、変更前と同等の栄養量の維持に繋げることができた。

 

●食事摂取量の少ない患者様でも必要栄養量の充足が図れ、また少量・高栄養の内容となったことで、褥瘡治癒促進のために栄養補食品を付加しても摂取しやすい内容となった。

 

【考察】

以上の効果が得られたことで、高齢者への栄養管理は、身体機能の低下など高齢期の特性に加え、様々な疾患に対しての栄養管理についても求められるということが分かりました。また、摂取状況や個々の嗜好に配慮した食事提供というのも必須であると考えられます。

今回調査し、嚥下調整食の見直しを行ったことで、対象食種の栄養強化に繋げることができたと思われます。

 

 


最後に

患者様のその一口が、褥瘡治癒に繋がるよう栄養のある食事を追求し、さらに基本的な食べる喜び・おいしさを味わっていただけるよう、今後も褥瘡回診における管理栄養士の役割として適切な栄養管理・食事展開を行っていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プロフィール

茨城県厚生連 総合病院 土浦協同病院 栄養部

榊美穂先生

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