『 3名の栄養士が語る、変化する現場と次の20年への想い 』
こちらのコラムは〈第一部〉日常の課題と工夫の共有より続きます。
〈第二部〉見て、食べて、感じたこと
【いざ、介護食製造工場へ!】

Umiosサングルメ株式会社(旧:株式会社サングルメ)
鳥取県鳥取市にある介護食用冷凍食品や冷凍デザート、冷凍惣菜を製造する会社。Umiosグループ。
座談会に先立ち、3名の先生(栗野先生,関先生,山口先生)にはUmios株式会社のメディケア食品製造工場(Umiosサングルメ(株))を見学していただきました。
栗野先生: 「もっと機械がたくさん並んでいるイメージだったんですけど、実際は人の手で丁寧に作られていました。一つの商品にこんなに人数がかかっていることに驚きました。」
関先生: 「型を使った後、きれいに洗浄して、また違うものを作るのですよね。アレルギー対応も考えると、その手間は相当なものだなと思います。」
手洗い、消毒、器具の洗浄など、細部にわたる衛生管理の徹底ぶりも、印象に残ったとのお言葉をいただきました。
さらに、メディケア食品を使用した介護食のフルコースを試していただきました。
山口先生: 「私はミネストローネに入っていたミニとけないゼリー野菜が気になりました。実際に炒めてみたことがありますが、崩れにくくて。大量調理で多少雑に扱っても大丈夫そうだなって思いました(笑)」

▲ご試食いただいたミネストローネ(ミニとけないにんじん、たまねぎ、ピーマンを使用)
その他、メディケア食品を使用したお料理を数品ご試食いただきました。

▲小鉢の盛り合わせ(惣菜ペースト等) ▲酢豚(New素材deソフトポーク等)
【先生のお気に入り商品】
先生方のお気に入りのメディケア食品も教えていただきました。
〇栗野先生のお気に入り
■やさしいおかず みためがシューマイ、みためがギョウザ:
見た目も味のよい。高齢者施設では和食が多い印象ですが、メリハリをつけるために洋食や中華も献立に入れており、
焼売や餃子も人気メニューなので、嚥下食があるのは助かります。
■やさしい素材 温野菜さつまいも:
何も加えなくても、素材そのままで美味しい。
スイートポテトにしたり、絞り口でモンブランにしたりとアレンジしやすい。
■やさしいおかず きゅうりの酢の物ゼリー:
初めて食べた時は酢の物の味がしっかり感じられて衝撃でした。高齢者施設だと酢の物は酢をしっかりとばすため、酢の味を感じにくいですが、この商品はしっかりと酢の味を感じられ美味しい。

〇関先生のお気に入り
■たんぱく21シリーズ:
高齢者に必要なたんぱく質を少量で摂取でき、物性も安定し、食材の味がしっかりしているところがとても良いです。
■とけないコーン:
コーンの加工は皮などの除去が難しく、手作りしにくい。とけないコーンはそれがなく味もしっかりしていて使いやすいです。
■みためがギョウザ:
まさに餃子!具が入っているわけではないのに全体的に餃子の味がして不思議だけど美味しいです。

〇山口先生のお気に入り
■緑の野菜シリーズ(とけない野菜(ピーマン,ほうれんそう,えだまめ)、
ゼリー野菜(きゅうり,ブロッコリー)など):
ミキサー食では再現しにくい緑のバリエーションが豊富で色が鮮やかな点や
どんな料理にも添えるだけで料理が引き締まるところがお気に入りです。
■とけないながねぎ・たまねぎ:
・加熱調理にも対応し、料理のアクセントになります。
・無くても料理として完成はしますが、あった方が断然クオリティーが上がります。
・ソースやドレッシングには欠かせないため、毎回どちらかは使用しているほどです。
■やさしい素材肉(ブロック):
カット方法によってスライス,千切り,角切り,みじん切り(ひき肉風)など形を自由に変えられるところ、量の増減がしやすいので、エネルギーの調整がしやすいところ良いですね。

【改善してほしい点も率直に】

一方で、現場ならではのご要望もいただきました。
栗野先生: 「やさしい素材くだものなんですけど、必要な数だけ前日に解凍して使っているのですが、バレンシアオレンジやゴールデンパインは形状的に容器ごとカットするのが切りにくいんです」
トレイをカットする作業が難しいとのご指摘をいただきました。
栗野先生: 「あと、バナナとかバレンシアオレンジ、パインなんかも割と大きめなので、果物の1個あたりのサイズがもう少し小さいと包丁で切らなくてもそのまま使えるので便利かなって」
果物1個あたりのサイズについても、カットレスで使えるサイズを希望されるご意見がありました。
山口先生: 「うちは450人分のデザートを作る時があって、温野菜さつまいもを使用しました。通常は小分けになっていてとても使いやすいのですが、今回は開封するのが大変だったので前日に開封しました。」
大量に使う場合は小分けにすることで逆に手間が増える可能性もあり、用途に応じたサイズ展開が求められるとのご意見もいただきました。
関先生: 「形状ですね。里芋や椎茸は丸型だと飾り切りしやすくてロスも少ないです。人参は四角だとロスが多いので筒型だとカットして花型に抜きやすいです。」
山口先生: 「あと、ダイス状にカットされた野菜があると便利だなって。冷凍野菜でもダイス状やスライスが多いので、ニーズはあると思います」
今回いただいた貴重なご意見は、現場の声として真摯に受け止め、今後の商品開発に活かしてまいります。
【価格と品質のバランス】
気になる価格面については、3名とも「工夫次第」と前向きな評価でした。
関先生: 「確かに既製品は高いイメージがありました。でも、月単位で予算を調整することで、範囲内に収められました。何より作る手間と光熱費を考えれば、決して高くない」
上司への説明についても、それぞれ工夫があるようです。
栗野先生: 「うちは栄養士の裁量に任されている部分が大きいですね。最終的な月の予算の数字だけ、びっくりするほど上がってなければ大丈夫です」
関先生: 「うちの場合は食事の内容や予算などは理事長まで説明し決裁を頂くため、コンテストに出場したことで『今後このような食事を提供します』とアピールすることができました。『あそこの病院は食事が特別』と認識してもらうことで、意見も通りやすくなりました」
企画・取材:Umios株式会社(旧 マルハニチロ株式会社)
2025年11月実施
次のコラム:〈第三部〉未来に向けて 〜次の20年への期待〜














